太陽光発電システム評価方法
最新国際規格 PVモニタリング・評価の規格 IEC 61724-1:2017 解説
概要
太陽電池(PV)の評価に必要な様々な機器を紹介いたします。
(1)太陽電池(PV)パネルの特性を計測する方法
太陽電池パネルの設置方法(固定、追尾など)、メーカー、種類、方向、傾斜など様々な比較を行う際に最低必要な計測要素は以下の通りです。
日本では、JIS C 8906 に規定されています(地上用太陽電池モジュールで構成された太陽光発電システムの性能表示に用いる運転特性の測定方法)
国際的には、ASTM E2848-11の手法が国際的に規定されています。
○測定条件(JIS C 8906)
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項目 | 内容 | 備考 |
連続最短測定期間 | 1ヶ月(30日) | *季節(太陽高度、温度など気象条件)により効率は変化する。 |
測定周期 | 日射と連動するシステム:1分以下 | その他のシステム:10分以下 |
PVアレイ表面の汚れ | 運転開始後に汚れの清掃は行わない | 洗浄が組み込まれているシステムの場合はこの限りではない |
日射量の測定 | 太陽電池アレイと同方位、同傾斜面で測定する | *日射量の精度が効率に大きく影響する ファーストクラス以上を推奨 |
記録周期 | 1時間または、n分の1時間 | 例)30分、10分間隔など |
適用範囲 | 1kW以上のシステムに適用 |
*当社コメント3)独立電源PVシステムの計測イメージ
○基本計測項目
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項目 | 原因 | 測定器 | 測定要素 | JIS C8906 要求精度 |
入力エネルギー | 太陽エネルギー | 全天日射計 | 全天日射量または傾斜日射量 CHF-SR12が温度計内蔵、傾斜データ付です。 |
±5% |
気温 | PV効率に影響する因子(ASTM E2848-11必須) | Pt+シェルター | ±1℃ | |
風速 | 3杯風速計 超音波風速計 |
±0.5m/s (<=5m/s) ±10% (>5m/s) |
||
電圧・電流 | 発電 | テスター | 太陽電池アレイ | ±1% |
電力 | 発電 | テスター | 太陽電池アレイ | ±2% |
PV出力電力 | PVパネル特性 | PVアナライザー | Pmaxほか | – |
PV特性 | PVの変換特性 | IVカーブほか | – | |
パワコンの効率 | パワコンの特性 | 電力計 | パワコン前後の電力 基本は模擬電源で測定 MPPT追従が十分達成されているかの検証 |
±2% |
PV変換効率 | 気温 パネル温度 |
熱電対温度計 | パネル裏面温度 パネル温度が上昇すると効率が落ちます。 |
±1℃ |
○詳細計測項目
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項目 | 原因 | 測定器 | 測定要素 |
入力エネルギー | 太陽エネルギー | 直達日射計 | 太陽からの直接日射 |
全天日射計 | 散乱を含む全日射量 全天-直達から散乱日射量を計測 |
||
分光放射計 | 波長特性を計測 PV材料により波長吸収特性が異なる |
||
PV出力電力 | ストリングの特性 | PVアナライザー | 1ストリングだけでなく、多ストリングをスキャン計測 |
PV特性 | |||
PV変換効率 | 風速 | 風速計 | パネル付近の風速 パネル温度に影響します |
チャーコン/インバーターの変換効率 | チャーコン/インバーターの特性 | 電流、電圧、電力計 | パワコン前後の電力 基本は模擬電源で測定 MPPT追従が十分達成されているかの検証 |
日射に対する応答 | 日射変動 | 高速日射計 | 全天日射量または傾斜日射量 |
○JIS C 8906計測項目
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大項目 | 項目 | 変数 | 測定器 | 備考 |
気象因子 | アレイ面日射強度 (傾斜日射量) |
G1 H1 |
全天日射計 または PV用全天日射計 |
通常タイプ CHF-SR12:温度計内蔵、傾斜データ付 または、CHF-SR11 |
直達日射計(散乱は除外) | 集光式システム | |||
気温 | Tam | Pt温度センサー | シェルターも必要 | |
風速 | Sw | 3杯風速計 超音波風速計 |
オプション | |
太陽電池 アレイ |
出力電圧 | VA | データロガー・分圧器の組合せ | |
出力電流 | IA | データロガー・シャント抵抗・アイソレーションアンプの組合せ | 電流測定にはシャント抵抗を使用 | |
出力電力 | PA | 上記VA,IAより演算 | ||
太陽電池温度 | Tm | フィルム型熱電対温度計 | 裏面に貼り付け | |
傾斜角・方位角 | ポテンショメータなど | 追尾式アレイの場合 | ||
蓄電池 | 端子電圧 | Vs | データロガー・分圧器の組合せ | 系統連携のみのばあいは不要 |
充電電流 | ITS | データロガー・シャント抵抗・アイソレーションアンプの組合せ | ||
充電電力 | PTS | 上記Vs,ITSより演算 | ||
放電電流 | IFS | データロガー・シャント抵抗・アイソレーションアンプの組合せ | ||
放電電力 | PFS | 上記Vs,IESより演算 | ||
バックアップ電源 | 省略 | |||
商用電力系統 | 電圧 | Vu | AC電力計測モジュール | CT,PTでAC電力を計測 |
受電電流 | IFU | |||
受電電力 | PFU | |||
逆潮流電流 | ITU | |||
逆潮流電力 | PTU | |||
負荷 | 出力電圧 | VL | AC電力計測モジュール | CT,PTでAC電力を計測 DC負荷の場合は、V,Iそれぞれ計測 |
出力電流 | IL | |||
出力電力 | PL |
○ASTM E2848-11を満たす計測項目
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項目 | 測定器 | 測定要素 |
傾斜日射量 | 全天日射計 | CHF-SR12:温度計内蔵、傾斜データ付 または、CHF-SR11 |
気温 | Pt温度センサー | シェルターも必要 |
風速 | 3杯風速計 超音波風速計 |
|
ACの場合の PV出力電力 |
電力計 | 精度1.5%以内 |
DCの場合の PV出力電力 |
シャント抵抗 分圧器 |
電圧、電流より電力を計算する |
(2)系統連系PVシステムの計測イメージ
系統連系の場合の太陽電池パネル(PV)計測の方法
発電したものは全て系統に吸収されると仮定して設計します。計測時はインバーターとは切り離しますが、電子負荷により計測可能なレンジの特性計測を行います。
(3)独立電源PVシステムの計測イメージ
独立電源(AC系統に接続していない)場合、比較的小規模なものが多いですが、一番の問題点は対象試験システムに適合する負荷が得られないことです。
PVアナライザーには電子負荷を搭載しているので最適な負荷をモジュールまたはストリングに与えての計測が可能になります。また、PVアナライザーで計測する場合、パネル以外のもの(負荷、蓄電池)は不要となります。
固定抵抗(ヒーター、モーター、電球など)による負荷は、MPPTが得られないので、実際のチャージコントローラーやインバーターを用いたシステムとは特性が異なってきます。
(4)IVカーブ PVカーブ
以下は、IVカーブ(緑)、PVカーブ(青)の例です。
緑線を見ると、PVの出力電流はある電圧までほぼ一定ですが、電力(VxI)は、ある点で最大となります。その点をPmaxといい、青線の極大点をがその場所を示しています。パワーコンディショナーやチャージコントローラーは自動的にその極大点で変換するように作られています(MPPT追従)。実際にはMPPTは理想的に働かないので、パワコンやチャーコンの前後に変換効率を測定する計器を取り付けたりする場合もあります。
PVモジュールやストリング(PVの直列)の中に不良品や、陰があると上手のようなきれいなIVカーブは描かれません。
機器選定
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項目 | 写真 | 特徴 |
太陽エネルギーの評価 | 太陽光発電システムでもっとも重要な自然要素は日射量です。入力となる日射量を正しく測定することがシステムの性能評価をする上で重要です。 日射計は、ISOでセカンダリースタンダード(準器クラス)、クラス1、クラス2と3つに分類されており、ランク外は簡易日射計と呼んでいます。クラスが高いほど高価で、精度も高くなります。太陽光発電システムで用いる日射計は、クラス2以上、トレーサビリティーが必要な太陽光発電所では気象庁検定付きの日射計をお勧めします。 太陽追尾型の発電システムや、太陽熱を利用する場合は、直達日射計とトラッカーの組合せで入力エネルギーを評価します。 太陽光発電システムの最低必要な計測要素は、 入力:日射量 PVパネルの発電量(電圧、電流) 可能であればIVカーブ パワコンの発電量(電力:系統連系の場合) 負荷電力とチャーコンの充電電力量(電圧、電流:独立電源の場合) |
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日射計 (CHF-SR11) |
ファーストクラス日射計 PV発電システムの入力エネルギーを計測する重要アイテム JISでは±5%精度だが、効率に大きく影響するのでファーストクラスを選択したい 予算が厳しい場合は、2ndクラスの日射計(CHF-LP02) シリコン日射計との違い:波長特性がフラット、劣化が小さい 2ndクラスとの違い:傾斜特性、温度特性に優れる(朝、夕精度良) |
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日射計 (CHF-SR03) |
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日射計 (CHF-SR12) |
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直達日射計 (CHF-DR01/DR02) |
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PVの評価 | PVの出力は、そのときの日射量に応じて最適な電圧と電流の組合せ(IVカーブ、PVカーブ)が変化します。通常パワコンや、高級なチャージコントローラーはその最大点を自動的に探して、追従して変換や充電をします(MPPT制御)。 このPVカーブ(IVカーブ)を電力、環境や種類ごとにPVアナライザー(IVカーブトレーサー、PVスキャナー、IVチェッカーともいいます)により計測すると 太陽光発電システムのPVの特性が把握できます。 PV出力は、メーカー毎にことなります。また、不良パネルや不良セル、接続設置不良があると2段になったりします。また、一部が陰になったりする場合も同様です。 また、PV出力は、日射の他に、気温やパネル温度にも左右されるので、これらの要素もできれば同時に計測します。 |
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PVアナライザー IVカーブトレーサー (CNK-PVA12280) |
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PVアナライザー IVカーブトレーサー (CNK-PVA11270) |
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PV計測と 気象計測の組合せ |
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パワーコンディショナーの評価 MPPT追従型チャーコンの評価 |
パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽電池のIV入力に対してPmaxに追従するよう設計されています。そこが、通常のインバーターとは異なります。 通常のDC電源では、パワコンが正しい出力をすることができません。DC電源のIVカーブは太陽電池と異なり、パワコンが最適なPmax点を見つけることができないからです。 そこで、1点(電力または電圧)の評価でも模擬電源を用いて評価する必要があります。 |
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太陽電池模擬電源装置 |
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可搬型 太陽電池模擬電源装置 |
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