気象観測のイロハ
気象観測とは
気象の計測、記録
誰でも知っている代表的なものとして、たとえば温度(気温)の計測、記録を行って
データ化して利用することがあります。
家庭にあるようなアルコール温度計や、水銀体温計は目視で温度がわかりますが、
メモをとるなどをしないと記録できません。
このため、ふつう気象観測などの目的で連続的な観測を行う場合は、自動で電気的に温度を
計測して記録し、データ化しておくことになります。
自動で電気的に温度を測って記録するには、温度計の感部(センサー)と記録器を電気的に
配線接続して、記録器を設定してデータ化して記録させておくことになります。記録した
データは、パソコンにデータファイル化してから利用することがほとんどです。
データの利用目的にもよりますが、主に気温だけなど単一の記録だけならセンサーと記録器が一体型となっている配線接続が不要の簡便な機器を用い、複数の(風向、風速、気温、湿度など)記録が同時に必要だったり、グレードの高いセンサーを使用するなら、独立した各種のセンサーを、センサーとは別体の記録器に配線接続して記録する、機器類の組合せ(計測システム)を用いて計測、記録を行うことが多いです。
温度の計測をするためのセンサーには、いくつかの種類があります。主に計測したい対象物
が何かなどによってその中から選択していきます。
例えば一般的な気温(対象物が空気の場合)の計測であれば、気象庁では白金測温抵抗体
を用いていますが、サーミスタや、熱電対を用いることもあります。それぞれに一長一短があり観測の目的などによって選定します。
気温の場合には、正確に計測するためにはセンサーに日射除けの覆いをつけ、通風を確保しておく必要があります。たとえばセンサーに直射日光が当たってしまうとぐんぐん温度があがってしまって、気温を測っているとはとても言えないような高温になってしまいます。
覆いにも種類があって、気象庁では現在は強制通風筒を用いて覆いをしつつ、電動のファンで空気を吸い込んでセンサーに当てていますが、その他に百葉箱と同等の覆いと通風の機能をもたせた小型の自然通風シェルターを用いたり、現在は少なくなってきていますが学校の校庭にあるような百葉箱を用いる
こともあります。
このようにして計測された気温を、記録器が毎時に記録したり、ある期間の平均値や最大値(最高気温)や最小値(最低気温)を記録してデータ化します。
代表的なものとして気温の計測を挙げましたが、その他に温度を計測したい対象物としては地温(土壌)、水温(水)などがあり、これらは簡単に言えばセンサーを埋めたり浸けたりしておけば直射日光の影響も小さいので、覆いなどがなくても計測できます。ただし防水を考えなくてはならなかったり、機械的な強度が必要だったりという感部や配線の保護や固定の意味で、センサーの選定には考慮が必要です。
以上は計測したい対象物の中にセンサーを設置しておける場合ですが、物理的に対象物が薄かったりなど中にはセンサーを設置しておけない場合(板状の太陽電池などのもの)には、対象物の表面の温度を計測したり、かえって表面そのものの温度を計測したい場合(凍結の有無などのための路面温度)もあります。
そのような場合には、ごく小型化した熱電対を表面に貼り付けておいたり、数十cmから数m離れた場所から放射温度計で計測したりもします。
1. 今日の観測について
いろいろな目的で気象や自然環境の計測、記録を行ってデータ化して利用することがあります。気象庁の行う気象観測や、国土交通省が行う河川の観測などの他に、農林分野では作物などの生育とその場所での気象や土壌の観測、環境影響評価予測(アセスメント)のための観測、太陽光や風力など自然エネルギー利用のための観測、森林の二酸化炭素吸収量の観測などもあります。
コンピュータやソフトウェアの進歩で、シミュレーションによってかなりの信頼性をもって予測をすることもできるようになりましたが、今日のスーパーコンピュータを用いた天気予報の当たり外れなどを考えてみれば、やはり実測が必要な場合も多くあります。
たとえば記録される要素の代表的なものとして、気温や湿度があります。家庭にもあるようなアルコール温度計は目視で温度がわかり大変便利です。2連になっている湿球温度計付きのものならば湿度も換算できます。が、メモをとるなどをしないと記録はできません。
道路、空港、ヘリポートなどにある吹き流しは、時々刻々と変化する風向風速が直感的にひと目でわかりこれも大変便利です。が、メモをとるなどをしないと記録はできません。
このため今日では、ふつう気象観測などの目的で連続的な観測を行う場合は、自動で電気的に計測して記録し、データ化しておくことになります。
たとえば自動で電気的に温度を測って記録するには、温度計の感部(センサー)と記録器を電気的に配線接続して、記録器を設定してデータ化して記録させておくことになります。記録したデータは、パソコンにデータファイル化してから利用することがほとんどです。
気温以外のものでも同様で、それぞれの感部(センサー)と記録器を観測したい場所に設置して、そこで記録された値は最終的にはパソコンで処理、利用します。
ただ、まだまだ観測方法が確立されていなかったり、性質上自動化するのが困難なものもあります。もともと観測という言葉は、主に自然現象を観察して測定することでしょうから、今日の観測は、機器を用いて測る方の言葉、計測(と記録)と言う方が、言語の面から見るとより正しいのかもしれません。
上にあげた、気温、湿度、風向、風速の他にも自動で観測されるもの(観測要素)として、雨量(降水量)、日射量や熱量、積雪深、視程、雲量、天気の別(晴れ、曇り、雪など)、地温、土壌水分量、水位や流量、水温、水質などもあります。
地震、火山、天体などの観測ももちろんありますが、これらは高度に専門化された計測方法、設備が必要となりますのでここでは触れません。
2. 観測機器について
・総合的な観測システムについて
・個々のの観測機器について
・気温(地温、水温)、湿度(露点温度、蒸気圧)、気圧
・風向、風速
・雨量(降水量)、積雪深
・日射量(全天、直達)、日照時間
・視程
・土壌水分、蒸発量
・水位、水質
・植物
3. 気象観測方法の解説
気象観測方法の解説は、気象庁のウェブサイトの気象観測ガイドブックのページなどに
丁寧な説明があります。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/hpc.html
4. 水文観測の手引き
国土交通省のウェブサイト内に、水文観測の手引き(案)が掲載されています。
https://www.skr.mlit.go.jp/kasen/mizu/tebiki.htm
出典
気象庁
・全般の解説(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/hpc.html)
・気象観測の手引 PDFファイル(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/tebiki.pdf)
国土交通省