CACC-TDR-315シリーズ
True TDR土壌水分センサー SDI-12出力

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概要

CACC-TDR-315シリーズはブレークスルーテクノロジーにより、従来大型のシステム(例:C-TDR100)でしか可能ではなかった真のTDR測定方式を小型なセンサーの中に凝縮しました。従来のTDR方式と言われる小型センサーは、実は簡略化した測定方式を採用していましたが、CACC-TDR-315シリーズは特許申請中の画期的TDR方式により、真の誘電率を測定をします。センサーから波形データを取得することもできます。得られた誘電率からTopp式をもとに開発された独自アルゴリズムによって体積含水率をセンサー内部で計算します。

CACC-TDR-315H*は多くの土壌タイプに適合し、低消費電力に特化したスタンダードなモデルです。CACC-TDR-315Nは消費電力は高いですが高塩分土壌に適したモデルです。CACC-TDR-310WはCACC-TDR-315Nのロッド長が10cmとなったモデルです。栽培ポットのようなスペースに制限がある場合を目的としています。

*TDR-315Hは在庫限りとなっております。15cmロッドをお求めの場合はTDR-315Nをご検討ください。
C-CR1000XC-CR800C-CR300などのデータロガーに直接接続可能かつメンテナンスフリーなので、長期間の連続観測が可能。土壌水分(体積含水率)だけでなく、土中の導電率(EC)、温度、誘電率が測定可能です。
 電源コントロールをして、省電力化でき、かつ、コストパフォーマンスに優れているので、多点、無人観測にも適しています。

アメリカ農業生物工学学会
2017年最高技術改革賞に
選出されました。
対象論文はこちら

特徴

  • 針状ロッドなので土中に差し込む事が出来る
  • 土壌水分(体積含水率)だけでなく、土中の導電率(EC)、温度、誘電率が測定可能
  • SDI-12(デジタル)出力
  • 精度が高く、長期安定性も高い
  • 粘土質土壌、塩分の高い土壌でも測定可能
  • 穀物の水分量測定への可能性
  • みかけの誘電率(ε)を測定できるので土壌に合わせた独自の式(ε-θ関係)も活用できる
  • 旧タイプと比較してレスポンスが30%向上

原理

TDR(Time Domain Reflectometer system):時間領域反射法)方式の土壌水分計で、電磁波がロッド先端から反射時間する時間が誘電率に比例することを利用します.。このTDRセンサーは独自の方式により、広い温度範囲、塩分濃度の中で高精度に測定が可能になっています。誘電率と導電率は温度により補正された値となっています。

使い方

土中にセンサー全体を埋設して使用します。SDIアドレスは、0-9,a-x,A-Zの62種類が利用可能です。C-CR1000Xでは、1つのSDI入力Cポートに62本、全4chのポートを使用すると、248本の測定が可能です。ただし、1つのポートあたりのセンサーケーブルの総延長の最大は約600m(1本あたり60m以内)ですのでご注意ください。
C-CR1000XなどのデータロガーにC-AM16/32マルチプレクサーを接続して、多chSDI計測も可能です。この場合、各センサーにSDIアドレスを設定する手間はありません。
C-CR300を利用すると安価に多点計測を行うことができます。

(注意1)土壌の温度は、ヘッド部分で測定しています。土壌水分は温度補正されますので、ヘッドとプローブは同じ温度環境になるように設置して下さい。
例)このセンサーを地表面の上から挿入、ヘッドのみ地上部に残り日射を受けると、プローブとヘッド部分の温度が著しく大きくなり、測定値に誤差が生じます。
(注意2)測定インターバルは2分以上に設定してください。2分以内の場合は、自己加熱のため温度が不正確になります。

ハンディー土壌水分モニタ
10点までの多点連続記録にも対応

いろいろな土壌の測定について こちら
データロガーとのパック製品は こちら

仕様

スクロールすることができます

型式 CACC-TDR-315H(在庫限り) CACC-TDR-315N, 310W
誘電率

計測範囲:1-80


分解能:0.1


精度(粗い土壌):±1


精度(細かい土壌):±2

計測範囲:1-100
分解能:0.1
精度:±2
体積含水率(VWC)

計測範囲:0-100%


分解能:0.1%


精度(粗い土壌):±1%


精度(細かい土壌):±2.5%

計測範囲:0-100%
分解能:0.1%
精度:±2%
バルク電気伝導度(Bulk EC)

計測範囲:0-5000μS/cm

(ECが1800μS/cmを超えると体積含水率の計測精度が低下しますので、高ECの環境下ではTDR-315Nを推奨します)

分解能:1μS/cm

精度:±25μS/cm (0-1000μS/cm)

    ±2.5% (1000-2000μS/cm)

    ±5% (2000-5000μS/cm)


単位換算計算

導電率= S/cm = 1/(Ω・cm)

1 [S/m] = 10 [dS/m] = 10 [mS/cm]= 10000 [μS/cm]

計測範囲:0-6000μS/cm
分解能:1μS/cm
精度:±25μS/cm (0-1000μS/cm)
    ±2.5% (1000-2500μS/cm)
    ±5% (2500-6000μS/cm)
温度

計測範囲:-40-+60℃


分解能:0.1℃


精度:±0.25℃

計測範囲:-40-+60℃
分解能:0.1℃
精度:±0.25℃ (+5-+35℃)
    ±0.5℃ (-15-+50℃)
測定時間 0.25秒 0.3秒
電源 3.5-15V 6.5-15V
消費電流

動作時:36mA@12V


非動作時:<10μA


通信時:6mA

動作時:118mA@12V
非動作時:<10μA(20℃)
通信時:6mA
出力 SDI-12 (Ver.1.4)
測定間隔 2分以上推奨(2分以内は自己加熱のため温度が不正確になります。)
材質 304ステンレス、エポキシ、ポリエチレン
大きさ 200L*53W*19Hmm CACC-TDR-315N 200L*53W*19Hmm
CACC-TDR-310W 160L*53W*19Hmm
重さ 440g(10m cable) CACC-TDR-315N:432g(10m cable)
CACC-TDR-310W:421g(10m cable)
ケーブル長さ 標準 10m PVC
最大60m(同じCポートに接続されたセンサーの合計は610m以下)
対象データロガーとSDIポートの数 SDIポートの数 対象データロガー
8 C-CR10X
5 C-CR5000
4 C-CR1000X,1000,3000,23X
2 C-CR800、850
1 C-CR300、510、200X
設置例

計測範囲

各センサの計測範囲はおおよそ下記の通りです。計測原理上境界についてはあくまで目安となります。

SDI-12結線

スクロールすることができます

線色 意味 ロガー端子
SDI-12 DATA Cポート
SDI-12 電源 12V
SDI-12 G G

SDIコマンドの例

スクロールすることができます

コマンド 書式 応答
V1.7より前(ケーブルにラベルなし) V1.7~(ケーブルにラベル有り)
アドレス問い合わせ ?! ?! b
b:アドレス(0-9)
アドレス変更 aAb! 1A2! b アドレスについては*1)参照
ID送付要求 al! 1l! a13Acclima TDR315 1.3xxxxxxxx 013Acclima TR315H1.79002468
測定命令 aM! 1M! a00025
測定に2秒、データ数5
a00025
測定に2秒、データ数5
測定結果取得1 aD0! 1D0! as+VVV.V+TT.T+PP.P+EEEE+CCCC
VVV.V : 含水率(%)
TT.T : 土壌温度(℃)
PP.P : 相対誘電率
EEEE : バルク導電率(μS/cm)
CCCC: 水導電率(μS/cm)
例)
a+25.03+32.16+32.13+1.6<CR><LF>
as+VVV.V+TT.T+PP.P+EEEE+CCCC
VVV.V : 含水率(%)
TT.T : 土壌温度(℃)
PP.P : 相対誘電率
EEEE : バルク導電率(μS/cm)
CCCC: 水導電率(μS/cm)
例)
1+10.0+17.7+1.1+012+013
測定結果取得2*(2 aD1! asrrr.rsvvv.vsttttsttttsttttstttt
rrr.r : 波形最大立ち上がり値 (mv/ns)
vvv.v :最大立ち上がり時の振幅 (mv)
tttt : 最大立ち上がり時の伝搬時間(ps)
tttt : 波形伝搬時間(ps)
tttt : 補正伝搬時間(ps)
tttt : 波形測定スパン(ps)
例)
a+342.0+271.0+5405+5325+5340+320<CR><LF>

サポート外
ただし、実際には5個アンサーがある。
1:入射波の時間
2:粗い反射波の時間
3:細かい反射波の時間
4:総伝播時


5:長期振幅
例)
1+795+2365+2260+1050+1930


測定3
波形取得
aXAtttt! avvv.v
vvv.v :反射信号(mv)
注)
ttttは取得する反射信号の時間(ps)です。波形全体を描くにはコマンドを繰り返し呼び出す必要があります。
サポート外
ただし、実際にはアンサーがある
例)
097C
説明は左と同じ
*2)     rrr.r : 波形最大立ち上がり値 Waveform Max. Risetime(mv/ns)
vvv.v :最大立ち上がり時の振幅 Amplitude at Max. Risetime(mv)
tttt : 最大立ち上がり時の伝搬時間 Propagation Time at Max
Risetime(ps)
tttt : 波形伝搬時間 Waveform Propagation Time(ps)
tttt : 補正伝搬時間 Compensated Propagation Time(ps)
tttt : 波形測定スパン Waveform Measurement Span(ps)
reading 1: incident wave time
reading 2: coarse reflected wave time ? this is not really useful to an end user as it is just an approximation of the fine reflected wave time (reading 3)
reading 3: fine reflected wave time
reading 4: total propagation time
reading 5: long term amplitude

SDIアドレスの付け方

全てのセンサーに初期アドレス0が振られています。アドレスの設定方法について下記の方法があります

1)注文時に指定
 当社にご注文される段階で、アドレスが決まっていればIDを割り振りして出荷いたします。
2)CR300/800/1000などのデータロガー、Terminal modeを利用して変更→ こちら
3)土壌水分モニターにより変更→こちら

4)Data SnapでID自動付与(取扱終了)
Data Snapに接続すると、センサーにIDが自動割り振りされます。
失敗する場合もあるので、以下の手順で接続してください
・全てのセンサーを接続してから、電源投入←失敗する可能性がある
・1個つないで、’Add Acclima Sensors”ボタンを押す
・PCでモニター、確認。
・2個目を接続して、PCでモニター確認。上記を繰り返す。

設置方法

土壌の温度は、センサのラベルが貼ってあるヘッド部分で測定しています。土壌水分は温度補正されますので、ヘッドとプローブは同じ温度環境になるように設置して下さい。
 例) このセンサーを地表面の上から挿入、ヘッドのみ地上部に残り日射を受けると、プローブとヘッド部分の温度が著しく大きくなり、測定値に誤差が生じます。
図は、TDTセンサーですがTDRでも同様です。

設置時の注意事項

・計測範囲(16×10×6cm)に空隙・根(特に径の大きいもの)・鉱物・金属(他のセンサ含む)が無いようにしてください。
・センサ自体に土が密着するようにしてください。(センサU字内にも空隙を作らないこと)
※1:センサの隙間になるべく均一な土壌を入れ、計測範囲を回りの土壌と同じ密度にすること。
※2:設置時は降雨後またはカルキ抜きした水で土壌を軟らかくしてからセンサの設置を推奨。
埋め戻し後も適度に水をかける。(カルキ抜きは、土壌微生物への影響を小さくするため)
・近くに電気ノイズを発生するものが無いようにしてください。

・設置後、土壌が安定するまでの期間はデータが安定しない場合があります。データのばらつきが無い、散水時に値が上昇する等、変動が安定した後のデータを使用してください。

・鉱物由来、導電率(EC)が高い土壌、土壌以外の物質で含水率は正常に計測できない事があります。

・土壌水分センサは、周辺環境の影響を受け易いセンサです。周辺の根や土壌構造によりデータに変動を及ぼされる事があります。定期的に土壌のサンプリングを行ない、土壌水分(絶対値)との比較を行なう事を推奨致します。

CR-BASICサンプルプログラム

(ご自由にご使用下さい、TDR-315H用のプログラムです)


‘ Program for TDR315_SDI-12
‘ TDR315 SDI-12
‘ Made by Climatec,Inc. JAPAN
‘ Contact : http://www.weather.co.jp/
‘ This program is freeware
‘———— Wiring —————————————
‘ TDR315 SDI-12 For CR-Basic data logger
‘ Porwer + 12V
‘ Power – G
‘ SDI-12 C1
‘———— SDI ID Setting ——————————-
‘ Please assign TDR315 sensor as SDI ID:0
‘ ———— Condition ————————————
‘ Monitoring : 10sec interval
‘ Data saving: 10min interval

Public soil_VWC ‘SWC(%)
Public soil_temp ‘degree
Public soil_EC ‘TDR-315:uS/cm
Public Bulk_RP ‘no units
Public MaxSlope

Units soil_VWC = %
Units soil_temp = °C
Units soil_EC = uS/cm ‘TDR-135

Public IN1(6)
Public i
Public IN2 As String *16
Public t ‘OffsetTime (t * 5)ps
Public stp=25 ‘Sampling step 25 means “sampling every 125ps”
Const Num = 100 ‘It takes 35sec for 100 samples
Public Waves(Num)
Public Period
Public Int_Temp,Batt_Volt

‘ ————– OUTPUT SECTION
DataTable(TBL101,True,-1)
  DataInterval(0,1,Min,1)
  Sample (1,soil_VWC,IEEE4)
  Sample (1,soil_temp,IEEE4)
  Sample (1,soil_EC,IEEE4)
  Sample (1,Bulk_RP,IEEE4)
  Sample (Num,Waves(1),FP2)
EndTable

‘ —————————————– Measurement
BeginProg
Scan(1,Min,0,0) ‘ Monitoring interval:1min
‘————————————– Int Temp and BattVolt for check
PanelTemp (Int_Temp,0)
Battery (Batt_Volt)
‘————————————– TDR-SDI measurement
SDI12Recorder (IN1(),1,0,”M!”,1.0,0) ‘ SDI-12 measurement
If IN1(1) >= 0.0 Then ‘ in case of SDI outputa are normal, else keep previous data
  soil_VWC = IN1(1) ‘ Volumetric water content
  soil_temp = IN1(2) ‘ Soil temperature
  Bulk_RP = IN1(3) ‘ Soil permittivity
  soil_EC = IN1(4) ‘ Soil electrical conductivity
EndIf
‘————————————– OutPut interval:1min
For i = 1 To Num
  SDI12Recorder (IN2,1,0,”XA”&Hex((i-1)*stp+t)&”!”,1.0,0) ‘ SDI-12 measurement
  Waves(i) = HexToDec(Right(IN2,Len(IN2)-1)) /4096
Next i
CallTable TBL101
Next Scan
EndProg


参考論文

土壌および穀物の水分・電気伝導度計測への適用事例

スクロールすることができます

2013
5) 安永円理子, 宮本英揮, 上田哲大, 時間領域透過法で計測した乾燥過程における籾の比誘電率特性, 日本生物環境工学会, 高松市, 2013. 9.

4) 平嶋雄太, 上村将彰, 宮本英揮, 時間領域透過法(TDT)による土壌電気伝導度計測の高精度化, 日本生物環境工学会, 高松市, 2013. 9.

3) 上村将彰, 宮本英揮, 時間領域透過法(TDT)による土壌水分・電気伝導度計測, 日本生物環境工学会, 高松市, 2013. 9.
2012 2) 濵川明伸, 上村将彰, Ty P. A. Ferre, Markus Tuller, 宮本英揮, 高導電性媒質の誘電特性計測に対するSDI-12型TDTセンサーの適用, 土壌物理学会, 帯広市, 2012. 11.

1) 上村将彰, 濵川明伸, Ty P. A. Ferre, Markus Tuller, 宮本英揮, SDI-12型TDT センサーによる誘電特性の計測, 土壌物理学会, 帯広市, 2012. 11.

 

導電率(電気伝導度)換算ツール

導電率はSI単位系ではS/m(ジーメンス・パー・メーター)とされていますが対象の大きさによって、マイクロジーメンス、ミリジーメンス(mS)、デシジーメンス(dS)が使われることがあります。また、分母についてもcmが使われることがあります。

 ←ここで単位を選んで数値を入力
← Calc をクリックすると下に換算した値が表示されます。

μS/m
mS/m
dS/m
S/m
mS/cm
μS/cm

導電率の例

液体の種類導電率(25℃)
純水 1μS/cm
水道水 100~00μS/cm
ジュース 2~mS/cm
海水 50mS/cm