CHF-FHF06
高温用薄膜熱流センサー(CHF-FHF06)

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概要

薄膜熱流センサーCHF-FHFシリーズは、組み込まれた対象物または取り付けられた対象物を通過する熱流束を計測し、W/m2(ワット毎平方メートル)の単位で表します。内部の受感部はサーモパイル(熱電堆=熱電対の集まり)でできており、センサーの裏と表の温度差により発生する小さな電圧出力から、センサー固有の係数を掛けることで熱流へと変換します。

CHF-FHF06も従来モデルのCHF-FHF05と同様に柔軟性があり、T型熱電対が一体になっており、熱伝導率への依存を減らすためのサーマルスプレイダー*を備えています。

また、CHF-FHF06は接着剤を使わずにすべてポリイミドで構成する設計により従来のCHF-FHF05モデルの継続使用可能温度上限120℃を大きく上回る250℃までの環境での継続使用を実現しました。これまでより様々な分野での活用が見込まれ、薄膜熱流センサーCHF-FHFシリーズは熱流計測を検討している方々にとって、さらに最適なセンサーとなっています。

*スプレイダーの詳細については技術資料をごらんください。

計測原理

熱流センサはそれ自身を通過する熱流束を計測します。熱流束はW/m2の単位で表現されます。CHF-FHFシリーズはセンサが貼り付けられた場所の代表的な熱量を出力します。

CHF-FHFシリーズの感部はサーモパイル(熱電錐=熱電対の集まり)でできています。サーモパイルはセンサの表と裏の温度差を計測します。CHF-FHFシリーズは電源を必要としないパッシブセンサであり、表と裏の温度差は通常非常に小さいために小さな電圧出力となります。センサには固有の係数がつけられていて、出力された電圧に係数を掛けることで熱流へ変換できます。

センサの模式図

異種金属で構成される熱電対が大量に埋め込まれています(①、②)。一つの熱電対はセンサの表と裏にある温接点と冷接点の温度差に従った電圧を発生します(④、⑤)。直列接続された熱電対により信号が増幅されます。定常状態では熱流束(⑥)はセンサの表と裏の温度差とセンサ本体の熱伝導率(③)と比例関係になります。

取付例

CHF-FHFシリーズは高い柔軟性を持ち、半径7.5mmまで曲げることができます。

取り付け方法

正しい計測のために計測対象とセンサ間には空気が入らないようにしてください。
①熱伝導性両面テープを用いて取り付ける。
②熱伝導性グリスを塗り、上から熱伝導性テープで固定する。
のいずれかをおすすめします。熱伝導性テープはガードバンド部分にのみ最低限の量を貼り付けるようにしてください。また、お使いの条件に合わせて適切な製品を選択してください。

仕様

スクロールすることができます

計測項目1 熱流束
計測項目2 温度
温度計 タイプT熱電対*
サーマルスプレイダー 内蔵
最小曲げ半径 7.5mm
ケーブル耐荷重量 <1.6kg
感部サイズ(wxb) 25mm x 50mm
センサ熱抵抗 12×10-4 K/(W/m²)
センサ厚さ 0.38 x 10-3 m
校正の不確かさ ±5% (k=2)
計測範囲 (-20 to 20) x 10³ W/m²
感度係数(典型値) 5 x 10-6 V/(W/m²)
表裏誤差 <2%
温度範囲**

継続使用:-70 to +250℃

ケーブル:-70 to +250℃

コネクタブロック:-70 to +250℃

ケーブル端のラベル:-40 to +120℃

IP等級

IP67***

定格動作圧力範囲

25バールまで

ケーブル長 2m
オプション

5 or 10mケーブル

追加ケーブル

ケーブルなし****

*温度計測不確かさ:± 2.5 or 0.0075 × T °C 詳細はマニュアル参照
**-160℃以下でお使いの場合お問い合わせください
***継続的な水中での使用は推奨いたしません
****ケーブルやコネクタブロックのないセンサー単体であれば、真空での使用が可能な場合があります。

センサー結線

スクロールすることができます

線色 出力 測定
+熱流出力 電圧
-熱流出力
+熱電対温度 T熱電対(CC)
-熱電対温度

大きさ、構成

                  CHF-FHF06外形図
                  ①感部面(スプレイダー付)
                  ②ガード
                  ③温度センサー(T熱電対)
                  ④ドット(表面表示)
                  ⑤コネクタブロック
                  ⑥ケーブル(標準2m)

スプレイダーについて

熱流計の共通の問題点として校正時に使用するヒートシンクの素材以外での使用時に感度係数が変わってしまう短所が知られています。スプレイダーはこの感度係数の問題を可決する機能になります。

校正はヒートシンクに熱流計を張り付けその上部に決まった出力するヒータをのせヒートシンクに伝わる熱流を計測して個々の感度係数を決定します。通常校正用ヒートシンクはアルミが使用されています。アルミへの熱流を計測する場合は問題はありませんが、アルミ以外では計測素材の熱抵抗の違いから計測誤差が大きくなる可能性があります。

熱流計CHF-FHF05及びCHF-FHF06にはスプレイダーが搭載されております。スプレイダーは熱伝堆の上下に熱伝堆を挟み込むように薄膜の金属を配置しています。熱流は一度この金属の薄膜を通過(吸収)することによりアルミ以外の計測対象物に対しても、感度の変化を最小限に抑える事が可能になっています。

下記はHukseflux社のFHFシリーズのスプレイダー有と他社製のスプレイダーなしでのアルミ、ガラス、プラスティックでの計測における不確かさのグラフになります。FHFシリーズ(青)はガラス、プラスティックでの不確かさに比べ、他社製は不確かさは大きくなっていることがわかります。

推奨ロガー

HIOKI 熱流ロガー LR8432

  • 熱流センサで熱の量と流れを測定
  • 温度・電圧も測定可能
  • 測定データをUSBメモリに記録し、手軽にPCに持っていくことができます!長期間に渡る測定は、信頼のCFカードに安心記録!
  • アナログ入力10ch絶縁、最高感度10mV
  • 全チャネルで10msの最高サンプリングが可能
  • 生波形と演算後の波形を2つ同時に記録(熱貫流率などの波形演算)
  • ダブルゲージで2本の目盛りを表示可能

HIOKI メモリハイロガー LR8450-01 (無線LAN搭載モデル)

  • 無線LAN搭載モデル/直結ユニット,無線ユニット増設で最大330ch
  • 圧力など各種センサーの出力電圧を1msサンプリングで測定
  • ひずみゲージを直接接続して最速1msサンプリングで測定
  • インバータなど高電圧・高周波周辺でも安定測定、ノイズの影響を大幅に低減
  • 無線ユニットを使えば信号線の配線長を最短にでき、トラブルを防止
  • 無線LAN搭載のロガーを使えば、離れた場所のデータをPCで観測可能

Q&A

スクロールすることができます

テープやグリスは販売していますか?お薦めはありますか?

アプリケーションにより異なるため、推奨はございません。

取り付け対象によりどういった方法が適しているかはお客様の方で判断をお願いします。

センサに圧力をかけても問題ありませんか? 25barまでは問題ございません。
温度補正は必要ですか?

校正温度(20℃)と計測部温度に差がある場合、温度補正が必要です。
感度の温度依存性を補正するには、以下の測定関数を用います。

Φ = U/(S∙(1 + 0.002∙(T – 20)))

Φは熱流束(W/m²)、UはCHF-FHFシリーズの電圧出力(V)、Sは20℃での感度(V/(W/m²)、TはCHF-FHFシリーズの温度です。

感度Sは、製品証明書とケーブルの端に記載されています。

温度計はどこにありますか? サーマルスプレイダー下部、センサ裏面にあります。
防爆対応品でしょうか?

ATEXおよびJPExには非対応です。
CHF-IHF01,CHF-IHF02,CHF-HF05についてはATEX対応品となっておりますのでそちらをご検討ください。

校正証明書は付属しますか? メーカーの校正証明書が付属します。構成はASTM C1130 – 21に従ったトレーサブルな機器を使って工場にて行われております。
貼り付けた場所に温度ムラがある場合の出力はどうなりますか? その場所の平均的な熱流束が出力されます。
推奨ロガー以外に適合するロガーはどのようなものがありますか? 熱電対およびミリボルト単位の電圧が計測可能なロガーであれば特に条件はありません。センサのモデルと想定される熱量、許容できる分解能を考慮してお客様の方でご判断ください。
半導体タイプの熱流センサとの違いは何ですか? 半導体タイプは計測素材による差が大きくなっています。
また、FHFシリーズは半導体タイプより耐久性が高いことが実験で示されています。これはセンサを曲げた時に顕著で、本来曲げ角にかかわらず内部抵抗の変化がないものが理想ですが、半導体タイプは曲げ角により内部抵抗が変化するものがあるためと考えられます。

校正の推奨頻度は?

2年が推奨です。弊社までセンサを送り返していただいてからメーカー(オランダHukseflux社)での校正となります。センサの状況によってはお受けできない可能性もありますので、営業担当へお問い合わせください。

自分で校正することは可能ですか? 校正済みのセンサを校正対象のセンサと並べて計測することで比較校正が可能です。同じ型式のセンサを使い、200W/m2以上の熱量で24時間以上かけて校正することをお勧めします。詳細は取扱説明書を参照ください。
デモ品はありますか? デモ品はございますが、数に限りがありますので詳細はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
レンタル品はありますか? レンタル品はございません。

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