CACC-SEN-SDI
TDT土壌水分センサー

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概要

C-CR1000XC-CR800C-CR300などのデータロガーに直接接続可能な、TDT方式の土壌水分センサーです。メンテナンスフリーなので、長期間の連続観測が可能。土壌水分(体積含水率)だけでなく、土中の導電率(EC)、温度、誘電率が測定可能です。
電源コントロールをして、省電力化でき、かつ、コストパフォーマンスに優れているので、多点、無人観測にも適しています。

特徴

  • 経済的
  • 土壌水分(体積含水率)だけでなく、土中の導電率(EC)、温度、誘電率が測定可能
  • SDI出力センサーをラインアップ
  • 精度が高く、長期安定性も高い
  • 塩分の高い土壌でも測定可能
  • 波形データを得る事ができる
  • 波形最大立ち上がり値(MaxSlope)を記録する事により、粘土質土壌、穀物の水分量測定など、多様な物質の水分量測定可能性があります。その場合、独自校正曲線が必要になります。
  • みかけの誘電率(ε)を測定できるのでTDR研究で蓄積した知見(ε-θ関係)をそのまま無駄なく活用できる

原理

TDT(Time Domain Transmissometry:時間領域透過法)方式の土壌水分計です。TDR(時間領域反射法)方式の場合は、電磁波がロッド先端から反射時間する時間が誘電率に比例することを利用しますがTDT方式の場合は、閉じたU型ガイドを透過する時間を測定します。このTDTセンサーは独自の方式により、広い温度範囲、塩分濃度の中で高精度に測定が可能になっています。誘電率と導電率は温度により補正された値となっています。また、透過信号を用いているため、反射信号を利用するTDRに比べて波形解析が容易であり、高EC条件下での解析エラーが少ないという特徴があります。
ECは勾配最大点の勾配(MaxSlope)に基づいて独自の関係式によって計算されます。

使い方

防水構造なので、土中に埋設することができます。ガイドは、あらゆる角度で土壌に挿入することができます。C-CR1000では、1つのSDI入力Cポートに10本、全4chのポートを使用すると、40本の測定が可能です。
また、CR1000などにC-AM16/32マルチプレクサーを接続して、多chSDI計測も可能です。この場合、各センサーにSDIアドレスを設定する手間がありません。
C-CR300を利用すると安価に計測できます。

注意事項

注意1
土壌の温度は、緑のヘッド部分で測定しています。土壌水分は温度補正されますので、ヘッドとプローブは同じ温度環境になるように設置して下さい。
例) このセンサーを地表面の上から挿入、ヘッドのみ地上部に残り日射を受けると、プローブとヘッド部分の温度が著しく大きくなり、測定値に誤差が生じます。詳しくはこちら

注意2
測定インターバルは2分以上に設定してください。2分以内の場合は、自己加熱のため温度が不正確になります。

ハンディ土壌水分モニタ
多点記録も可能

いろいろな土壌の測定について
こちら(PDF)

研究論文について
こちら

CR-Basic サンプルプログラム
こちら

関連製品

仕様

スクロールすることができます

型式 CACC-SEN-SDI
測定要素、測定範囲、精度 要素 体積含水率 導電率
(出力はmS/cm)
温度
測定範囲 0~100% 0~5.0dS/m
(0~5mS/cm)
-20~50℃
精度 ±2% ±0.2 dS/m 0~40℃:±0.5℃
-20~-0.1℃:±1.0℃
40~50℃:±1.0℃
単位換算計算
導電率= S/cm = 1/(Ω・cm)
1 [S/m] = 10 [dS/m] = 10 [mS/cm]
測定条件 温度:-20~50℃(VWCは 1~50℃)、導電率:0~5.0dS/m
測定体積 約100cc
出力 SDI-12 (Ver.1.3)
測定時間 測定:450ms SDI1-12コマンド:425ms
測定間隔 2分以上推奨(2分以内は自己加熱のため温度が不正確になります。)
動作温度範囲 -20~50℃(保存温度:-20~75℃)
電源 区別 ケーブルにV0.7の記載があるもの(新) ケーブルにV0.7の記載がないもの(旧)
電源電圧 5-15VDC 4-15VDC
動作時消費電流 動作時: 84mA@12VDC (98mA@8VDC、110mA@6VDC)
非動作時:60uA@12V
通信時:約6mA (最大 8mA)
動作時: 30mA@12VDC (75mA@4VDC、55mA@6VDC)
非動作時:15uA@12V(非動作時)
通信時:2.5mA
材 質 304ステンレス、エポキシ、ポリエチレン
大きさ 200L*533W*15Hmm
重  さ 440g(10mケーブル)
ケーブル長さ 標準 10m
最大60m(同じCポートに接続されたセンサーの合計は610m以下)
対象データロガーとSDIポートの数 SDIポートの数 対象データロガー
8 C-CR10X
5 C-CR5000
4 C-CR1000,3000,23X
2 C-CR800、850
1 C-CR300、510、200X
1つのポートで10本まで測定可能です。
外形図(概略)

SDI-12結線

スクロールすることができます

線色 意味 ロガー端子
SDI-12 DATA Cポート
SDI-12 電源 12V
SDI-12 G G

SDI アドレスの設定

マニュアルを参照ください
Data snapの場合は自動的に割り振られます。
データロガー(CR1000/800など)を使用しての設定はこちら

SDIコマンドの例

測定コマンドの使い分け

スクロールすることができます

測定 V0.7より前 V0.7~
測定1 基本的な命令
土壌水分を得る事が出来ます。
測定2 土壌毎にキャリブレーションを行いたい場合や、上記の式が適用できない場合。
土乾法により求めた土壌水分と波形最大立ち上がり値、振幅、伝搬時間の関係から、より精度の高い校正式を自分で作る事ができます。
サポート外
測定3 TDR100と同様の波形解析が可能になります。
レスポンスが遅いので、インターバルは10分以上を推奨します。
サポート外

スクロールすることができます

コマンド 書式 応答
V0.7より前(ケーブルにラベルなし) V0.7~(ケーブルにラベル有り)
データロガー(CR1000/800など)を使用してのSDI通信・アドレス設定はこちら
アドレス問い合わせ ?! ?! b
b:アドレス(0-9)
アドレス変更 aAb! 1A2! b アドレスについては*1)参照
ID送付要求 al! 1l! a13Acclima SDI12 1.0 114Acclima TDT 0.76012434
測定命令 aM! 1M! a00014
測定に1秒、データ数4
a00014
測定に1秒、データ数4
測定結果取得1 aD0! 1D0! asppp.ppsTT.TTskk.kksss.s
ppp.pp : 含水率(%)
TT.TT : 土壌温度(℃)
kk.kk : 相対誘電率
ss.s : 導電率(dS/m)
s:(+)
例)
a+25.03+32.16+32.13+1.6<CR><LF>
asppp.psTT.Tskk.ksss.s
ppp.p : 含水率(%)
TT.T : 土壌温度(℃)
kk.k : 相対誘電率
ss.s : 導電率(dS/m)
s:(+)
例)
1+10.0+18.2+11.1+1.0
測定結果取得2*(2 aD1! asrrr.rsvvv.vsttttsttttsttttstttt
rrr.r : 波形最大立ち上がり値 (mv/ns)
vvv.v :最大立ち上がり時の振幅 (mv)
tttt : 最大立ち上がり時の伝搬時間(ps)
tttt : 波形伝搬時間(ps)
tttt : 補正伝搬時間(ps)
tttt : 波形測定スパン(ps)
例)
a+342.0+271.0+5405+5325+5340+320<CR><LF>
サポート外
ただし、実際には2個アンサーがある。

1:総伝播時間
2:長期振幅
例)
1+1050+1930

測定3
波形取得
aXAtttt! avvv.v
vvv.v :反射信号(mv)
注)
ttttは取得する反射信号の時間(ps)です。波形全体を描くにはコマンドを繰り返し呼び出す必要があります。
サポート外
ただし、実際にはアンサーがある
*2)     rrr.r : 波形最大立ち上がり値 Waveform Max. Risetime(mv/ns)
vvv.v :最大立ち上がり時の振幅 Amplitude at Max. Risetime(mv)
tttt : 最大立ち上がり時の伝搬時間 Propagation Time at Max
Risetime(ps)
tttt : 波形伝搬時間 Waveform Propagation Time(ps)
tttt : 補正伝搬時間 Compensated Propagation Time(ps)
tttt : 波形測定スパン Waveform Measurement Span(ps)
reading 1: total propagation time
reading 2: long term amplitude

SDIアドレスの変更・付加方法

いくつか、方法があります

全てのセンサーに初期アドレス0が振られています。

1)注文時に指定
当社にご注文される段階で、使用法が決まっていれば アドレスを割り振りして出荷いたします。
2)CR300/800/1000などのデータロガー、Terminal modeを利用して変更→こちら
3)土壌水分モニターにより、変更→こちら

4)Data SnapでID自動付与(取扱終了)
Data Snapに接続すると、センサーにIDが自動割り振りされます。
失敗する場合もあるので、以下の手順で接続してください
・全てのセンサーを接続してから、電源投入←失敗する可能性がある
・1個つないで、’Add Acclima Sensors”ボタンを押す
・PCでモニター、確認。
・2個目を接続して、PCでモニター確認。上記を繰り返す。

*Data Snapは取扱を終了しました。
後継機種:土壌水分モニター

設置方法

土壌の温度は、緑のヘッド部分で測定しています。土壌水分は温度補正されますので、ヘッドとプローブは同じ温度環境になるように設置して下さい。
 例) このセンサーを地表面の上から挿入、ヘッドのみ地上部に残り日射を受けると、プローブとヘッド部分の温度が著しく大きくなり、測定値に誤差が生じます。

設置時の注意事項

・計測範囲(16×10×6cm)に空隙・根(特に径の大きいもの)・鉱物・金属(他のセンサ含む)が無きこと。
・センサ自体に土が密着すること(センサU字内にも空隙を作らないこと)
※1:センサの隙間になるべく均一な土壌を入れ、計測範囲を回りの土壌と同じ密度にすること。
※2:設置時は降雨後またはカルキ抜きした水で土壌を軟らかくしてからセンサの設置を推奨。
埋め戻し後も適度に水をかける。(カルキ抜きは、土壌微生物への影響を小さくするため)
・近くに電気ノイズを発生するものが無きこと。

注意

  • 設置後、土壌が安定するまでの期間はデータが安定しない場合があります。データのばらつきが無い、散水時に値が上昇する等、変動が安定した後のデータを使用してください。
  • 鉱物由来、導電率(EC)が高い土壌、土壌以外の物質で含水率は正常に計測できない事があります。
  • 土壌水分センサは、周辺環境の影響を受け易いセンサです。周辺の根や土壌構造によりデータに変動を及ぼされる事があります。定期的に土壌のサンプリングを行ない、土壌水分(絶対値)との比較を行なう事を推奨致します。

サンプルボリューム範囲(目安)

J.M.Blonquist Jr. et al. Journal of Hydrology 314(2005) P241を元に作成
参考:当社の簡易的な実験(V0.7)では、16x10x6cmが検知範囲でした。

波形取得の例

TDTセンサーを水中に入れて、凍らせた時の波形変化実験
波形の立ち上がり時間が早くなり、立ち上がりが急勾配、最大値も大きくなる。

TDTセンサーを水中に入れて、凍らせた時の波形変化実験
上記と同じテストで、氷から水への波形変化
波形の立ち上がり時間が遅くなり、立ち上がの勾配は緩やかに、最大値は小さくなる。
図中のRPは相対誘電率

氷テストの様子

転載する場合は以下記載してください。
Copyright by Climatec,Inc 2016
Experiment by K.Terasawa and K.Seida

CR-BASICサンプルプログラム

(波形取得コマンド付き)(ご自由にご使用下さい)


‘ Program for TDT_SDI-12
‘ TDT SDI-12
‘ Made by Climatec,Inc., JAPAN
‘ Contact : http://www.weather.co.jp/
‘ This program is freeware
‘———— Wiring —————————————
‘ TDT SDI-12 For CR-Basic data logger
‘ Porwer + 12V
‘ Power – G
‘ SDI-12 C1
‘———— SDI ID Setting ——————————-
‘ Please assign TDT sensor as SDI ID:0
‘ ———— Condition ————————————
‘ Monitoring : 10sec interval
‘ Data saving: 10min interval

Public soil_VWC ‘SWC(%)
Public soil_temp ‘degree
Public soil_EC ‘TDR-315:uS/cm
Public Bulk_RP ‘no units
Public MaxSlope ‘mv/ns ONLY TDT!

Units soil_VWC = %
Units soil_temp = °C
Units soil_EC = uS/cm ‘TDR-135

Public IN1(6)
Public i
Public IN2 As String *16
Public t ‘OffsetTime (t * 5)ps
Public stp=25 ‘Sampling step 25 means “sampling every 125ps”
Const Num = 100 ‘It takes 35sec for 100 samples
Public Waves(Num)
Public Period
Public Int_Temp,Batt_Volt

‘ ————– OUTPUT SECTION
DataTable(TBL101,True,-1)
DataInterval(0,1,Min,1)
Sample (1,soil_VWC,IEEE4)
Sample (1,soil_temp,IEEE4)
Sample (1,soil_EC,IEEE4)
Sample (1,Bulk_RP,IEEE4)
Sample (Num,Waves(1),FP2)
EndTable

‘ —————————————– Measurement
BeginProg
Scan(1,Min,0,0) ‘ Monitoring interval:1min
‘————————————– Int Temp and BattVolt for check
PanelTemp (Int_Temp,0)
Battery (Batt_Volt)
‘————————————– TDT-SDI measurement
SDI12Recorder (IN1(),1,0,”M!”,1.0,0) ‘ SDI-12 measurement
If IN1(1) >= 0.0 Then ‘ in case of SDI outputa are normal, else keep previous data
soil_VWC = IN1(1) ‘ Volumetric water content
soil_temp = IN1(2) ‘ Soil temperature
Bulk_RP = IN1(3) ‘ Soil permittivity
soil_EC = IN1(4) ‘ Soil electrical conductivity
EndIf
‘————————————– OutPut interval:10min
For i = 1 To Num
SDI12Recorder (IN2,1,0,”XA”&Hex((i-1)*stp+t)&”!”,1.0,0) ‘ SDI-12 measurement
Waves(i) = Right(IN2,Len(IN2)-1)
Next i
CallTable TBL101
Next Scan
EndProg


参考論文:土壌および穀物の水分・電気伝導度計測への適用事例

スクロールすることができます

2013
5) 安永円理子, 宮本英揮, 上田哲大, 時間領域透過法で計測した乾燥過程における籾の比誘電率特性, 日本生物環境工学会, 高松市, 2013. 9.

4) 平嶋雄太, 上村将彰, 宮本英揮, 時間領域透過法(TDT)による土壌電気伝導度計測の高精度化, 日本生物環境工学会, 高松市, 2013. 9.

3) 上村将彰, 宮本英揮, 時間領域透過法(TDT)による土壌水分・電気伝導度計測, 日本生物環境工学会, 高松市, 2013. 9.
2012 2) 濵川明伸, 上村将彰, Ty P. A. Ferre, Markus Tuller, 宮本英揮, 高導電性媒質の誘電特性計測に対するSDI-12型TDTセンサーの適用, 土壌物理学会, 帯広市, 2012. 11.

1) 上村将彰, 濵川明伸, Ty P. A. Ferre, Markus Tuller, 宮本英揮, SDI-12型TDT センサーによる誘電特性の計測, 土壌物理学会, 帯広市, 2012. 11.

参考研究室:佐賀大学・宮本研究室