赤外放射計について

計算方法について

赤外放射計の記録は通常平均か積算してMJの単位で記録します。

例)1時間の平均赤外放射フラックス(W/m2)*3600秒*10^-6=1時間の積算赤外放射量(MJ/m2)
精度良く記録するならC-CR800/C-CR1000
安価に記録するのであれば、小型ロガー(CUZ-LR5041,平均可能)ですが、赤外放射計の記録には十分な精度が得られません。

赤外放射量の計算方法について

赤外放射計による長波放射フラックスの計測は、測器本体の温度(ボディー温度Tbody(℃))と比較して測定されます。赤外放射フラックスRLを求める場合は、以下の式になります。

RL[W/m2] = RLv[mV] * S0[W/m2/mV] +σ (Tbody[℃] + 273.15)^4

RL:赤外放射フラックス(W/m2)
RLv:赤外放射計の出力電圧(mV)
S0:赤外放射計の校正係数(各センサーに付属)IR20の場合は、S0が温度により校正されます(校正書に付属)
σ:ステファンボルツマン係数 5.67×10^-8
Tbody:赤外放射計のボディー温度(℃)
RLraw;RLv[mV] * S0[W/m2/mV] ボディ温度補正していない生値

測定の代表例1

上向きに設置した場合は、空全体からの赤外放射フラックスを測定します。
地上で計測される赤外放射フラックスは、地上から大気の上端までの空気(水蒸気含む)からの赤外放射フラックスの積算したものになります。

スクロールすることができます

条件の例 左の条件で考えられる測定値の例 計算値
環境温度*1
(℃)
空の状態 生の測定値*2
(W/m2)
空の温度*1
(℃)
赤外放射フラックス*1
(W/m2)
計算式*3 計算式*4
Tbody 天気 RLraw Tsky RL
-20 曇り 0 -20 233
-20 快晴 -100 -53 133
0 曇り 0 0 316
0 快晴 -100 -25 216
+30 曇り 0 +30 479
+30 快晴 -100 +13 379

*1 環境温度=ボディー温度としています。
*2 ボディー温度による補正なし  RLv[mV] * S0[W/m2/mV]
*3 Tsky[℃] = (RL/σ) ^-4-273.15
*4 RL = RLraw + σ (Tbody + 273.15)^4

測定の代表例2

放射収支計として使用する場合の例
地表面における、熱収支などの計測の一環として、放射収支を測定します。2台上下の赤外放射フラックスの値は、例えば以下のようになります。

夏の例

スクロールすることができます

温度条件例(℃) センサー 生値
(W/m2)
赤外放射フラックス
(W/m2)
空の温度 0 上側(下向き)
赤外放射フラックス↓
-132 316
環境温度*1 25 448
地温 40 下側(上向き)
赤外放射フラックス↑
+97 545

冬の例

スクロールすることができます

温度条件例(℃) センサー 生値
(W/m2)
赤外放射フラックス
(W/m2)
空の温度 -30 上側(下向き)
赤外放射フラックス↓
-117 198
環境温度*1 0 315
地温 -5 下側(上向き)
赤外放射フラックス↑
-22 293

放射収支計の下側赤外放射フラックスより地表面温度を求める場合、地表面とセンサーの間にある空気の赤外放射の影響を受けます。特に、水蒸気が多い霧などの場合は、実際の値との誤差が大きくなります。